明石大橋

[98-04-03]


ライトアップされた
明石海峡大橋
2日後に明石大橋が開通する。
私が明石に来た時には ケーブルが架かった直後ぐらいで, 橋桁はまだない状態だった。着工後10年経ったそうだが, ずいぶん時間がかかるものだ とも思えるし, 案外早くできるものだ とも思う。

この橋は 正式には「明石海峡大橋」というらしいが, ごく最近になって 公募によって「パールブリッジ」という愛称が決まった。
「明石海峡大橋」という名前は単純明快で 分かりやすく, たいへんいい名前だと思っていたのに, 何で今さらパールブリッジなのだろう。 東京湾のレインボーブリッジやベイブリッジにあやかろう という魂胆があったのだろうか。

神戸は全国の真珠の80%が集まる真珠流通の集積地だからとか, 淡路島は養殖真珠の核の生産で60%のシェアを持っているからとか, はたまた 大橋の夜間ライトアップが真珠のネックレスようだから とか いろんな説明がなされているが, どうもそれだけでは 唐突に愛称を決めた説明になっていないような気がしてならない。

邪推かもしれないが, 「明石」という地名がついているのが 神戸市の気に入らないためではないか と私は思っている。 あの橋は, 淡路島と神戸市垂水区の間に架かっていて, そこを通る高速道路も含めて, 明石市は全く通過していない。 単にあの海が「明石海峡」という名前がついているために 明石海峡大橋になったのに過ぎない。
だから 神戸にとっては, 明石市が まるで「オラが町の橋」であるかのように騒いでいるのが 面白くないのではあるまいか。
『明石大箸』
その証拠?に, 先日 開通イベントの一つとして 「親子3代の渡り初め」というのがあったが, そこには 淡路島と神戸市の 「親子3代」がたくさん招待されたのに, 明石市からは一人も呼ばれなかったという。

そんな背景があるせいかどうかは知らないが, 明石市は橋に関しては異様とも思えるほど神経質になっている。
たとえば, 大橋開通グッズとして「明石大箸」という 駄ジャレ的なおみやげが売り出されたのだが, これの包装の紙に印刷された大橋の写真が 神戸市側(東側)から撮られたものだったため 明石市の逆鱗に触れ, 明石市の公認のおみやげから外されてしまったそうである。

開通を目の前にして, 3月21日から いろいろなイベントが連日行われた。
ウォーキングのワッペン

  21日  明石海峡ブリッジウォーク 第1日     8万人
  22日  明石海峡ブリッジウォーク 第2日     8万人
        明石海峡ラブラン                   1万人
           (10キロラン, ハーフマラソン, 20キロ駅伝)
  23日  明石海峡橋上見学会 (神戸市垂水区)  5万人
  24日  明石海峡橋上見学会 (神戸市)        5万人
  25日  明石海峡橋上見学会 (明石市)        2万人
  26日  海上ピクニック (障害者激励ウォーク)1.5万人
  27日  全国サイクリング大会               3万人
  28日  世界ベテランズロード選手権 (チャリティレース)
           (10キロ, ハーフマラソン, 競歩)
  29日  世界ベテランズロード選手権   第2日
橋が開通してしまうと もうここを歩いて渡ることは不可能になるので, この際是非橋を歩いてみたいという人が多くて, 連日大賑わい。
私も一日歩いてきた。

【手すりが低い】

橋の両側には 殺風景ながら 手すりがつけられているが, 非常に低くて 大人の胸より下ぐらいの高さしかない。 そこを乗り越えれば そのまま海である。
ウォーキングの日には 手すりの近くには立ち入れないようになっていたが, 見るだけでも恐怖感がある。
本来ここは人間が歩くことは考慮されていなくて, せいぜい保守要員ぐらいしか通らないから これでいい という考えなのだろうが, 大丈夫なのだろうか。

ウォーキングに参加したある人 曰く「きっと自殺の名所になるだろう」

【風切りの穴】

車が走る部分は 片側3車線のアスファルト舗装になっているが, その両側(欄干側と中央分離帯側)は ご覧のような「格子状」 の金属板(グレーチングというのだそうな)が敷いてあって, のぞくと真下に金網状の棚のようなもの(電力ケーブルの配線スペース)が, 更にその下に海面が見える。
海面はここから 70〜80メートル下になるが, すのこの穴から海を見つめていると 吸い込まれそうな気分になり, 私のような高所恐怖症の人間にはとても怖い。

これは 風圧を逃がすための構造上の工夫なのだそうで, これによって 強風時の橋の揺れが大幅に緩和されるとか。

(左の画像をクリックすると 格子の穴から覗いた海面が見える)

【ケーブルの照明】
明石大橋は 夜間ライトアップされる。
2本の支柱は 下から照明を当てる普通のライトアップだが, ケーブルそのものは メインワイヤに沿ってとりつけられた 照明器具で照らされる。
近くで見ると なんとも小さな器具で, こんなものが「まぶしくて航行の邪魔になる」と問題になる程の 光量が出せるのだろうかと思う。
赤・青・緑の3色のランプが一組になって それぞれのハンガーロープの上に 2組ずつ取り付けられている。
何故 2組あるのかは不明だが, おそらく断線などのトラブルがあった時のために 冗長構成になっているのだろうか。

 

 

【「高速舞子」バス停】
橋は 舞子駅の頭上 はるか上空を通過するので, 「高速舞子」バス停は 駅からエレベータかエスカレータで 40メートルほど登ったところにある。
橋の通行料金が予想外に安かったため 非常に多くのバスが通ることになり, バス会社10社が なんと 1日254往復を走らすそうである。 そのうち 200往復程度が舞子に停まるとか。 本当にそんなに乗客がいるのだろうか。
バス停を車道側から見ると 写真のように意外と小規模で, ここに4分間隔という ラッシュ時の通勤電車並みの間隔でバスが停車したら それだけで交通渋滞を起こしてしまうのではないかと心配してしまう。

 

 

【傾斜】

橋は弓なりに反っていて 中央部がかなり高い。
舗装をして車が通るようになれば 重みで水平に近くなるのかと思っていたら, そうでもないらしい。

歩いていると 橋の中央部に向かう時は なんとなく足が重い感じがしていたが, 帰りは軽快な足取りになって, なるほど かなり傾斜しているんだ と実感。

この写真は 新聞からコピーしたもの。 上の方から撮ったもののようで, かなり 反りが強調されているように感じるが 別に加工したわけではない。
神戸側から橋上を展望しても 淡路島は見えず, 地平線 (橋平線?) が見えるだけである。

【重み】

サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジが 1987年に 建設50年目に達した。その際 一日だけ車の通行を止めて 歩行者に開放し ブリッジウォークをやった。
写真は やや不鮮明だが, この時の様子を撮ったもので, とにかく猛烈な人の波であったことがわかる。記録には 1日で30万人が集まった と書かれている。
この時 あまりの混雑のために, 重みで橋がかなり下がってしまい, 橋が壊れはしないか と真剣に心配したそうである。

明石大橋の場合は 9日間で 40万人だったそうだから, ゴールデンゲート橋に比べると たいしたことはなかった と言えるが, それでも, ブリッジウォークの初日には 重みで橋が だいぶ下がったそうである。 40センチぐらい下がったという説もあるようだが 未確認。


『明石大橋』にいただいたコメントの一部をご紹介。

・・・ ケーブルの照明器具って発光体は何なのでしょう?
電球,LED,蛍光灯などいろいろと考えられますが LEDを除くと寿命が気になります。
昼休みに「明石大橋」のHPを探しておりましたら 「ライトアップの概要」 という情報を見つけました。

ロープの照明は 「カラー高輝度放電管 27w×3色 271台/列×4列RGB」とのことです。
説明には

    メインケーブルは1本当たり2列のRGBイルミネーションによる 彩色照明を行い、ケーブルの曲線美を表現します。 また、色彩変化により、季節の変化や時間的変化等も表現できるようにします。
    ※RGBイルミネーション
    光の3原色である赤・青・緑のランプをワンセットにして、 いろいろな色が出せるようにしてあります。
とあります。蛍光灯やネオンに近いものかも知れませんね。 とすると寿命は電球の10倍くらいでしょうか?
切れたらどうするのでしょうね?ロープをよじ登って修理するのでしょうか。

⇒ 1個わずか 27ワットですか。
 そんな小さな電球で よくあれだけの明るさが出せるものですね。
 新聞情報によると, 試験点灯の際に 下を航行する船から
 「明るすぎる」というクレームが出たために,
 最大輝度より下げているんだそうです。
 2組あるのは 予備ではなく, 同時に点灯しているということなんですね。
 そうなると ご指摘のように, 保守するにはどうするんでしょうかね。
 メインロープは 直径 1.1m で, 足場は用意されていないようだから,
 命綱つけて よじ登るのかな・・・? (まさか!)

 ちなみに 橋の照明色は, 季節・曜日・時刻によっていろいろ変化するそうです。
 この連休の間に見た時は 全部緑色だったのですが,
 ちょうど午後8時になったら 主塔付近が赤っぽい色に変化して
 「あれれ?」と思いました。これは「時報パターン」といって,
 毎正時と30分に 5分間だけ色を変えるのだそうです。
 ライトアップの詳しいことは 本四公団のホームページに 書かれています。 (小川)


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